エンジニアにキャリアチェンジし、ある程度のスキルと経験を積み自分に自信が付いたのなら、その先のステップとしてフリーランスを目指すことは自然なことです。「もっと高収入を得たい」「会社に縛られない自由な環境で力試しをしたい」といった新たな目標に向かい、フリーランスエンジニアへの道を進む人もたくさんいます。そうしたチャレンジ精神で挑むフリーランスへのステップアップは、多くの魅力がある一方で、当然ながら何かしらの不安が生じるため、なかには一歩を踏み出せない人もいるかもしれません。
フリーランスを目指すにあたり抱えやすい不安には、たとえば安定した収入が得られるのかや、自力で営業を行い仕事を取れるのかといったものが挙げられます。ご存知の通り、フリーランスは会社員とは異なり、一定の仕事を継続して与えられるわけではありません。自らが動き仕事を受注していく必要があり、もし営業に苦手意識があるのであれば、なおさら突然収入が途絶えてしまうのではないかという不安に駆られてしまうのでしょう。
また、エンジニアとしての本業以外に経理事務作業を行わなければならないことも、不安に感じる要因の1つに挙げられます。そもそも、専門外の作業のため苦手に感じる人もおり、雑務に追われ本業の時間が確保できなくなるのではないかという不安もあるのかもしれません。
そのほかに、フリーランスは基本的に一人で業務を行うため、万が一にも体調を崩し仕事ができなくなってしまった場合のリスクと保障、案件の単価設定と交渉、孤独で相談相手がいないといったさまざまな不安が挙げられます。
これらのフリーランスへキャリアチェンジすることで生じる不安は、適切な対策を練り実行することで解消できます。
たとえば、「いつ仕事がなくなるかわからない」「安定した収入を維持できないかもしれない」という不安があれば、フリーランス向けのエージェントを活用するのも手です。エージェントに在籍するキャリアアドバイザーは、専門知識を有したプロで構成されており、必要な情報と希望条件を伝えておけば、プロ目線で自分に相応しい案件を紹介してくれます。そのため、営業に時間を割くことなく、本業に集中して取り掛かることができるうえ、途切れなく案件を獲得することが可能です。一定の収入を保たい人や営業が苦手な人は、フリーランス向けのエージェントを活用しない手はありません。
また、フリーランスは自由に仕事を選択できるというスタイルから、1つの収入源にだけ頼るのではなく、常に複数の案件を受注し、収入源を分散させるほうが良いでしょう。複数の案件を同時進行で進めることで、契約が切れたときの収入の心配がなくなります。
経理事務作業については、今はツールやWebサービスを利用し、比較的簡単に作業できるようになりました。会計ソフトやサービスを使うことで、事務系の作業を効率化させることができます。どうしても雑務の時間が惜しいのであれば、その道のプロにお願いするというのも良いでしょう。
フリーランスが病気や怪我で仕事ができなくなってしまった場合は、フリーランス向けの民間保険に加入して備えるという方法があります。所得補償保険や就業不能保険、賠償責任保険などさまざまなリスクに備えた種類の保険があるため、しっかり中身を吟味して万が一に備えるようにしてください。
そのほか、フリーランスは孤独に苛まれることもあります。そうした相談できる相手がいない不安は、コワーキングスペースを活用したり、交流会やコミュニティに参加したりすることで、フリーランス仲間を見つけることが可能です。
異業種へのキャリアチェンジは、通常の転職以上に慎重に考えなければなりません。まずは今の仕事で不満な点を、転職以外の方法で解決できないか考えましょう。どうしてもキャリアチェンジするのであれば、リスクを理解しておく必要があります。それはすなわち金銭的・時間的にコストが掛かる上に、転職後に収入が下がるリスクや、能力が未知数であるリスク、そして人間関係を新たに築き直すリスクや新たなストレスに晒されるリスクの他に、年齢的なリスクもあります。
いくらエンジニアが人材不足とはいえ、稼げるフリーランスには特徴があります。フリーランスは良くも悪くも自分次第であり、客観的に自己分析できなくては、クライアントとの良好な信頼関係を築くことは難しいのです。そして自分の市場価値を考えて、売り込み方を知っており、環境の変化を先取りするなど市場価値を高める努力を怠りません。危機感も強く、エンジニアであっても一つのプログラミング言語に満足せず、複数習得して守備範囲を広げる備えをしています。
せっかく苦労して就職したというのに、若者が早々に会社を辞めてしまうという嘆きがあちこちで聞かれます。しかしその中でも「石の上にも3年」で、20代後半にもなれば、社会人としての基礎は身に付き、これからのキャリアを腰を据えて考える時期でしょう。仮に同業種ではなく、他業種への挑戦というキャリアチェンジを考えるのであれば、この20代後半までがチャンスです。というのもその先になると結婚や子育てや親の介護など、様々な環境の変化もあり、また体力的にも年齢的にも難しくなるからです。