フリーランスという収入が不安定である代わりに、実力次第で高収入が得られる働き方で成功している人には、いくつかの特徴が見られます。もちろん会社勤めをしていても、同じくビジネスパーソンとしての大切な要素と言えるでしょうが、会社という後ろ盾を持たずに自分一人の実力と信用だけで勝負するには、相応の覚悟が必要であり、備えも大切なのです。
まずは自分というものを、しっかりと分析しています。会社勤めをしていると、上司や経営陣からの評価と自分自身の自己評価が食い違ってしまい、知らず知らずのうちに不満を溜め込んでしまう例も少なくありません。
しかし人は往々にして、自分の成功は自分の実力のせいと思い込む一方で、自分の失敗は他人や不運のせいにするものであり、客観的な自己分析というのは、思う以上に難しいものなのです。会社勤めであれば、会社もそうそうクビにするわけにもゆかず、仕事ができなくても何となく職場に留まり続けるということもあり得ますが、フリーランスではそうは行きません。クライアントとの信頼関係をコツコツと築いていても、ちょっとした言葉の行き違いや小さなミスから、たちまちクライアントそのものを失うということもあるのです。自分を必要以上に卑下することはありませんし、フリーランスであれば自分を売り込んで、相応の報酬を得るのも当然のことです。しかしクライアントという他者や市場における評価がどのようなものか、という点を無視することはできないのです。つまり自分の見方に従った自己評価に固執せず、常にそれを外部からの視点によって修正することが大切なのです。
フリーランスにとって、クライアントに売り込むべきは自分です。日々技術革新によって変化する業界の中で、自分の実力を高めることはもちろんのこと、自分の価値がどのようなものかを判断し、それを市場に提供するための方法を工夫するために、マーケティングの視点を取り入れることは大切です。最近であればネット上において、自分の作品やアイデアや考え方などを広く発信するということも一般的です。
また場合によってはトレンドや将来の需要増を睨んで、新たなスキルや知識を習得したり、あるいはまったくの異分野に人とのつながりを求めるなど、可能性の追求に余念がないというのが特徴です。
そしてフリーランスたるもの、仕事の依頼にはできるだけ応えたいものです。全くの畑違いであればともかく、エンジニアであれば、基本となるプログラミング言語に加えて、一つ、また一つと習得することで、仕事の幅が確実に広がります。
異業種へのキャリアチェンジは、通常の転職以上に慎重に考えなければなりません。まずは今の仕事で不満な点を、転職以外の方法で解決できないか考えましょう。どうしてもキャリアチェンジするのであれば、リスクを理解しておく必要があります。それはすなわち金銭的・時間的にコストが掛かる上に、転職後に収入が下がるリスクや、能力が未知数であるリスク、そして人間関係を新たに築き直すリスクや新たなストレスに晒されるリスクの他に、年齢的なリスクもあります。
いくらエンジニアが人材不足とはいえ、稼げるフリーランスには特徴があります。フリーランスは良くも悪くも自分次第であり、客観的に自己分析できなくては、クライアントとの良好な信頼関係を築くことは難しいのです。そして自分の市場価値を考えて、売り込み方を知っており、環境の変化を先取りするなど市場価値を高める努力を怠りません。危機感も強く、エンジニアであっても一つのプログラミング言語に満足せず、複数習得して守備範囲を広げる備えをしています。
せっかく苦労して就職したというのに、若者が早々に会社を辞めてしまうという嘆きがあちこちで聞かれます。しかしその中でも「石の上にも3年」で、20代後半にもなれば、社会人としての基礎は身に付き、これからのキャリアを腰を据えて考える時期でしょう。仮に同業種ではなく、他業種への挑戦というキャリアチェンジを考えるのであれば、この20代後半までがチャンスです。というのもその先になると結婚や子育てや親の介護など、様々な環境の変化もあり、また体力的にも年齢的にも難しくなるからです。