一昔前の、良い学校を出て良い会社に就職すれば、一生安泰で幸せな生活を送ることができる、といった幻想は、バブル景気の崩壊と共に過去のものとなりました。しかし会社の倒産やリストラが、誰にでも起こり得るものと認識されるようになって、一層学生の大企業志向が強まったり、公務員の人気が高まったりと、将来への不安はいよいよ拠り所を求めて人を駆り立てているように見えます。その一方で、これまでのようなレールに敷かれた人生を歩むのではなく、自らの手でキャリアを掴み取るための選択肢が増えたと考えることも出来ます。「先の見えない時代」と言われ、これまでの常識が通用しなくなっている部分は多々ありますが、それはむしろこれまでに当然変化しておかなければならなかったにもかかわらず、惰性から変わろうとしなかったツケを今払っていると言えなくもないのです。
多様化した選択肢から、主体的に自分のキャリアを選び出すことに価値を認められるのであれば、厳しい環境の変化に晒されても何とか生き延びて行けるでしょう。そのためには時代の流行に沿って、漫然と自分のキャリアを思い描くのではなく、敢えて自分のキャリアを考える必要があります。
人の欲求とは不思議なものです。人が自由を求めながらも、その実自由が手に入ると、それをどう使って良いか分からず、その重みに耐えかねて選択をあっさりと他人の手に委ねてしまうというのは、よくあることです。また他人よりも頭一つ抜きん出ていたいと切望しながら、人真似をしてそれを実現しようとするなど、不合理な面も少なくありません。そのため論理的に考えに考えて出した結論であっても、その通りに行動できるとは限りませんし、現実の世界には偶然が大きく作用するため、そううまく行くものでもありません。
しかしだからといって、自分のキャリアを考えることが無駄ということにはならないのです。少なくとも自分なりの理想をイメージして、それに近づこうと努力することなしに、成功はありません。たとえ一時は棚ボタ式に幸運に恵まれたとしても、長い人生の中でいつまでも続くことはないでしょうし、そもそも棚ボタをみすみす無駄にしてしまうかもしれません。棚ボタといえども、それがどれほど幸運なことかを理解できないようでは、所詮は猫に小判、豚に真珠というわけです。
書店には自己啓発本が並び、インターネット上にも「いかにして成功したか」といった情報が溢れています。しかし問題は、誰にでも万能な「成功への処方箋」というものはない、ということです。飽くまで自分の人生は自分のものであり、自分のキャリアを自分で考えて、納得する道を選ぶしかないのです。
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異業種へのキャリアチェンジは、通常の転職以上に慎重に考えなければなりません。まずは今の仕事で不満な点を、転職以外の方法で解決できないか考えましょう。どうしてもキャリアチェンジするのであれば、リスクを理解しておく必要があります。それはすなわち金銭的・時間的にコストが掛かる上に、転職後に収入が下がるリスクや、能力が未知数であるリスク、そして人間関係を新たに築き直すリスクや新たなストレスに晒されるリスクの他に、年齢的なリスクもあります。
いくらエンジニアが人材不足とはいえ、稼げるフリーランスには特徴があります。フリーランスは良くも悪くも自分次第であり、客観的に自己分析できなくては、クライアントとの良好な信頼関係を築くことは難しいのです。そして自分の市場価値を考えて、売り込み方を知っており、環境の変化を先取りするなど市場価値を高める努力を怠りません。危機感も強く、エンジニアであっても一つのプログラミング言語に満足せず、複数習得して守備範囲を広げる備えをしています。
せっかく苦労して就職したというのに、若者が早々に会社を辞めてしまうという嘆きがあちこちで聞かれます。しかしその中でも「石の上にも3年」で、20代後半にもなれば、社会人としての基礎は身に付き、これからのキャリアを腰を据えて考える時期でしょう。仮に同業種ではなく、他業種への挑戦というキャリアチェンジを考えるのであれば、この20代後半までがチャンスです。というのもその先になると結婚や子育てや親の介護など、様々な環境の変化もあり、また体力的にも年齢的にも難しくなるからです。